日木流奈 ひとが否定されないルール―妹ソマにのこしたい世界
日木流奈 ひとが否定されないルール―妹ソマにのこしたい世界
販売価格: 1,650円(税込)
在庫数 9点
商品説明
書物の中には、誰が書いたかが問題になるタイプの書物がある。フィクションであれば、誰が書こうとすぐれた物語(詩)でありさえすればいい。著者の正体が問題にされるのは、内容の真偽と誠実さが、作品の価値にかかわっている場合だ。『ひとが否定されないルール』は、まさにその意味で論議の対象になっている。
12歳になる重い脳障害の少年がリハビリの結果、優れた詩や文章を書くようになったという「事実」がともなわなければ、本書はこれほど話題になることも、著者が「奇跡の詩人」としてNHKのドキュメンタリー番組で取り上げられることもなかっただろう。
しかしNHKの番組に対しては「感動した」という声とともに、多数の「本当か」という声があがった。最大の問題は、少年の言葉とされているものが本当に本人の言葉なのかどうかが、映像だけでは判然としなかったことだ。また、ドーマン法というリハビリの有効性にもさまざまな異論があるようだ。
残念ながら、本書はそうした疑問を解消するものではない。ここに表現されている思考の内容や視点、語り口は、12歳の人間のものとは思えないほど大人びている。といって、そのことだけで本人の言葉ではないと決めつけることはできない。観念的な言葉遣いや考え方は、ドーマン法あるいは両親の教育の産物かもしれないし、彼の年齢と環境を考えれば、両親(とくに母親)の思考方法や語彙をそっくり内面化していてもおかしくはない(そのうえで、内容をどう評価するかは別の問題になる)。
けっきょくのところ、本書が読者に対して誠実な作品であるかどうかは、本書の内容だけでは検証不可能といえる。語られた内容のそのものよりも、それが示すいくつかの可能性について考えさせられる書物であることは確かだ。(栗原紀子)
内容紹介
NHKスペシャル「奇跡の詩人」で放映!!
脳障害・天才少年の魂の記
12歳でこんなことが本当にある!?歩くことも話すこともできない重度の障害者の驚くべき感性と知性。想像を越える「人間の無限の可能性」と、常識にとらわれない「生きることの哲学」に感動!!
私はいきなり大人たちが使う言葉をしゃべったのではありません。私の言葉が出る前の数年間、私は毎日新しい言葉をインプットされ続けていました。ドーマン法のプログラムにより、単語カードを約3000枚、二語文、三語文カードも約3000枚、親たちが作った手作り本は約1000冊、そして、百科事典的知識を教わるための“ビッツカード”は1万枚見ていたのです。主に父が夜なべをして作ってくれた、愛情豊かな教材たちです。また、その“ビッツカード”は、それがどのようなものであるか、深く掘りさげていくためにも使われました。私は学習することがとても楽しく、どんどんどんどん学び続けました。本当にわずかな時間しか学ぶことはできませんでしたが、私には心の泉となりえたのです。――(本文より抜粋)
私は条件をつけずに愛されました。このまんまの私を受け入れてもらえました。脳障害であることは大変ではあるけれど、私の存在を否定する材料にはなりえませんでした。
そして、そこから始められた私は、それ以後もだれかと比較されたことはなく、テストされたこともなく、きのうの自分よりあしたの自分が優秀になっていればいいという思想のもと、育てられました。
私は常に成功者でした、私自身において。だれかと比べてでは決してなかったのです。私は私自身でありさえすればよかったのです。――(本文より抜粋)
※こちらの書籍は、レターパック(520円)でお送りする事が可能です。
詳細はお問合せ下さいませ。
書物の中には、誰が書いたかが問題になるタイプの書物がある。フィクションであれば、誰が書こうとすぐれた物語(詩)でありさえすればいい。著者の正体が問題にされるのは、内容の真偽と誠実さが、作品の価値にかかわっている場合だ。『ひとが否定されないルール』は、まさにその意味で論議の対象になっている。
12歳になる重い脳障害の少年がリハビリの結果、優れた詩や文章を書くようになったという「事実」がともなわなければ、本書はこれほど話題になることも、著者が「奇跡の詩人」としてNHKのドキュメンタリー番組で取り上げられることもなかっただろう。
しかしNHKの番組に対しては「感動した」という声とともに、多数の「本当か」という声があがった。最大の問題は、少年の言葉とされているものが本当に本人の言葉なのかどうかが、映像だけでは判然としなかったことだ。また、ドーマン法というリハビリの有効性にもさまざまな異論があるようだ。
残念ながら、本書はそうした疑問を解消するものではない。ここに表現されている思考の内容や視点、語り口は、12歳の人間のものとは思えないほど大人びている。といって、そのことだけで本人の言葉ではないと決めつけることはできない。観念的な言葉遣いや考え方は、ドーマン法あるいは両親の教育の産物かもしれないし、彼の年齢と環境を考えれば、両親(とくに母親)の思考方法や語彙をそっくり内面化していてもおかしくはない(そのうえで、内容をどう評価するかは別の問題になる)。
けっきょくのところ、本書が読者に対して誠実な作品であるかどうかは、本書の内容だけでは検証不可能といえる。語られた内容のそのものよりも、それが示すいくつかの可能性について考えさせられる書物であることは確かだ。(栗原紀子)
内容紹介
NHKスペシャル「奇跡の詩人」で放映!!
脳障害・天才少年の魂の記
12歳でこんなことが本当にある!?歩くことも話すこともできない重度の障害者の驚くべき感性と知性。想像を越える「人間の無限の可能性」と、常識にとらわれない「生きることの哲学」に感動!!
私はいきなり大人たちが使う言葉をしゃべったのではありません。私の言葉が出る前の数年間、私は毎日新しい言葉をインプットされ続けていました。ドーマン法のプログラムにより、単語カードを約3000枚、二語文、三語文カードも約3000枚、親たちが作った手作り本は約1000冊、そして、百科事典的知識を教わるための“ビッツカード”は1万枚見ていたのです。主に父が夜なべをして作ってくれた、愛情豊かな教材たちです。また、その“ビッツカード”は、それがどのようなものであるか、深く掘りさげていくためにも使われました。私は学習することがとても楽しく、どんどんどんどん学び続けました。本当にわずかな時間しか学ぶことはできませんでしたが、私には心の泉となりえたのです。――(本文より抜粋)
私は条件をつけずに愛されました。このまんまの私を受け入れてもらえました。脳障害であることは大変ではあるけれど、私の存在を否定する材料にはなりえませんでした。
そして、そこから始められた私は、それ以後もだれかと比較されたことはなく、テストされたこともなく、きのうの自分よりあしたの自分が優秀になっていればいいという思想のもと、育てられました。
私は常に成功者でした、私自身において。だれかと比べてでは決してなかったのです。私は私自身でありさえすればよかったのです。――(本文より抜粋)
※こちらの書籍は、レターパック(520円)でお送りする事が可能です。
詳細はお問合せ下さいませ。
日木流奈 ひとが否定されないルール―妹ソマにのこしたい世界
販売価格: 1,650円(税込)
在庫数 9点